伝達力を上げるレイアウトの技術(初級編)
目的を果たすために、そのスペースでどんな機能が必要か?
「レイアウト」は、まず伝えたいことありきです。
伝えたいことがあるから、それを視覚化して読んでもらえる工夫をする。
伝えるべきことを誰が聞いてもわかるようにしゃべる。
それが「レイアウト」の役割です。
今回ご紹介する内容は「レイアウト」の基本的なお話です。
ちょっとしたことですが、知っていることで色々な場面で応用できます。
<レイアウトの定義>
「情報を整理」し、
「構造化」して
「視覚化」するということ。
<作例を使って解説>
単純にレイアウトといっても、いったいどんな手順で進めていくのか
わからない方も多いと思います。
架空の商品で作例を用意しましたので、そちらを見ていただきながら
ポイントをひとつひとつ解説していきます。
それでは、ダイエット食品の原稿を
チラシにレイアウトしていくという設定で進めていきます。
商品名は、
ダイエット食品「ヤセール」とします。
誌面にレイアウトするために必要な原稿要素は以下の通りです。
これをレイアウトしていく前に、考えなければいけないことがいくつかあります。
まずは、そちらを見ていきましょう。
<レイアウトする前に考えること>
情報を伝える前に、考えなければいけないことは何か?
それは、
「誰」に対して
「何」をメッセージするのか?
まず、この部分をしっかりと認識しなければいけません。
<焦点を絞る>
伝えたいことがたくさんあっても
焦点を絞らないと、ひとつも伝わらなくなります。
メッセージが決まったら原稿の中で
真っ先に読んでもらいたいポイントを考えましょう。
「一番伝えたいこと」を明確にして「焦点」を絞る。
<テイストをイメージする>
伝えたい方向性がまとまりましたね。
次に、展開される誌面の仕上がりイメージを考えます。
ここで必要なのがテイストです。
テイストというのは(~らしさ)と捉えてみてください。
物事を視覚的に展開する場合
テイストが原稿内容とうまくマッチングしないと
正しく情報が伝わりません。
例えば、町でよく見かける居酒屋の看板は赤が多いですね。
牛丼屋はオレンジです。
フランス料理店なら、フランスらしい書体を選び
和風が売りの店なら、和の雰囲気を醸し出す努力をします。
仮にフランス料理店なのに、中華料理店のような
店構えだとお客さまが混乱します。
見る人は、視覚的に色々な情報をインプットして状況を判断します。
第一印象で感じ取ったイメージで物事を解釈するということですね。
だからこそ、見る人が混乱しないように適切なテイストを選ぶことは
最重要事項なのです。
テイストを考えるとは具体的にどういうことなのか。
そんな疑問がわいてきますね。
これは、あまり難しく考える必要はありません。
あくまでも自分なりの感覚で仕上がりをイメージしていけば
いいと思います。
(例)
「情報量が多くて堅実な」テイスト
「カジュアルで楽しい」テイスト
「お洒落、感覚的、上品な」テイスト
色々なテイストがイメージできると思います。
<情報を整理してグループ化する>
関連した原稿要素は、まとめたてあげた方が読み手にとっては
理解しやすくなります。
レイアウトをする場合も、誌面がスッキリとまとまり情報も
伝わりやすくなります。
まずは、原稿の内容が関連する項目はグループ化してまとめましょう。
「情報を郡化」(グループ化)する。
<ストーリーを考える>
それでは、3つのグループをどんな順番で見せていくか流れを考えましょう。
どんな順番で見てもらえれば、意図が明確に伝わりやすいかを考えて
ストーリー(導線)を考えていきます。
<原稿をレイアウトしてみると>
3つにグループを意識して
レイアウトしていくと以下のようにまとまりました。
<視線の流れを意識する>
大前提として横文字の場合、視線の流れは下記の赤線のようになります。
これは「Zの法則」と呼ばれています。
上に行くほど引力が強く、下に行くほど弱まります。
左へ行くほど引力は強く、右へ行くほど弱まります。
<各原稿の役割を明確にする>
誌面上においては、原稿の主従関係をはっきりさせましょう。
まず、つかみとなるメインビジュアルをしっかりと配置します。
それ以外のグループ化した要素も読ませたいポイントは大きめにして
補足する文章などは、小さめに配置します。
お互いの関係性を明確にすることで、メッセージが伝わりやすくなります。
<ホワイトスペースを有効利用する>
ホワイトスペースとは原稿以外の白地の部分を指します。
原稿を配置したときは、ホワイトスペースを有効利用しましょう。
ホワイトスペースは、「白」という原稿だと捉えてください。
これは、ポイントを引き立てるためのとても大切な要素なのです。
<デッドスペース>
例えば、下記のようにスペースを埋めてしまうと、
ポイントも目立たなくなり
逃げ場のない、みにくいスペースができてしまいます。
これをデッドスペースと呼びます。
<強いラインをつくる>
人の視点はラインに引きつけられます。
誌面上に強いラインを作りだし、視点を誘導しましょう。
これを見えないラインと呼びます。
<弱いライン>
ラインを崩すと原稿にまとまりがなくなり、読みにくくなります。
<ケイ線(ライン)の役割>
ケイ線は、情報を分けたり、まとめたりする役割を持ちます。
下記の2点を比べてみてください。
ケイ線があるのとないのでは、情報の差別化に違いが出ます。
情報をしっかりと分けたい場合はケイ線を使いましょう。
<書体の選び方>
情報を伝えるために、一番大切な要素は文字原稿です。
文字はメッセージを明確に伝える機能を持っています。
だから、書体を選ぶときは読みやすさを重視する必要があります。
特殊な書体を使って個性を演出する必要はありません。
個性は他の部分で演出することをおすすめします。
文字は可読性が命です。
<書体選び>
●読みやすさを重視する。
●メッセージそのものより文字自体に目が行ってしまうような
特殊な書体は避ける。(書体で雰囲気を出そうとしない)
●書体の基本は「明朝体」と「ゴシック体」。
●太い書体は、元気でパワーを感じさせる。
●細い書体は、繊細なイメージを感じさせる。
●斜体は可読性を落とす。
<文字の配置>
●1行が長すぎると息切れする。
●行間は読んだときに息苦しくないアキを確保する。
●改行も極力、中途半端なところでしない。
以上、レイアウトの初級編でした。
例題に実際の広告原稿を使用した方が
具体的でもっと、わかりやすかったかもしれませんね。
次回はちょっと考えます。